在宅勤務やスマホ時間が増えた現代では、
歩かない日が増え、そして、腰や膝、股関節の違和感を訴える人が増え、
「運動不足だから下肢が弱る」ということだけでは、
不調の原因を説明しきれないなと、ふと思いました。
下肢というと「歩くための器官」というイメージでしたが、
実は現代人の下肢は、歩いている時間よりも「座っている時間」に影響を受けやすい状態
にあるのではないでしょうか。
今回は、
下肢を「生活と機能」という視点から整理してみます。
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下肢の使われ方
「膝は大腿四頭筋を鍛えるといい」
「下肢は筋トレで守るべき」
これは一理あります。
結局は、適度な運動が健康維持には必要です。
実際、適切な筋力は関節の安定性を高め、負担軽減にもつながります。
一方で、現代人の問題点は運動以前に、
特定の姿勢を長時間続けることによって、
- 一部の筋だけが常に緊張する
- 逆に使われない筋が働かなくなる
- 関節が「動かない位置」で固定されていく
といった、機能の偏りが起きやすくなっていることです。
つまり、現代人の下肢は、
どう鍛える部位かの以前に、
どう使われ続けているかを自覚する部位といえます。
あなたはどっち派?― 座椅子派 or チェア派 ―
ここからは、
現代人に多い座位姿勢を2つに分けて見ていきます。
- 座椅子派(あぐら・横座り・体育座り)
- チェア派(脚組み)
どちらも、
本人は「楽な姿勢」でも、
下肢にはそれぞれ異なる負荷がかかっています。
ちなみに私は、上記の両方併用した生活を送っていますが、
あマ指師学生になってからは、ストレッチの一環(という言い訳)で
あぐらをかいたり、脚組みしたり、体勢を変えるようにしています。
以下は、長時間同じ姿勢でいた場合の下肢への影響を整理します。
① 座椅子派(あぐら・横座り・体育座り)の下肢

あぐら
床に座ってあぐらをかく姿勢では、
- 股関節:外旋・外転位
- 膝関節:屈曲位
- 足関節:可動が少なくなりがち
という状態が長時間続きます。
この姿勢が習慣化すると、
- 内転筋群が使われにくくなる
- 股関節の内旋動作が出にくくなる
- 膝関節の伸展が制限されやすくなる
といった、関節可動域の偏りが起こりやすくなります。
「立ち上がるときに膝が伸びにくい」
「歩き始めに違和感がある」
こうした小さな変化は、
筋力低下ではなく、
日常姿勢による関節の使われ方のクセが原因になっていることも少なくありません。
横座り
いわゆる「お姉さん座り」と呼ばれる横座りの姿勢は、
- 両膝を曲げ、下腿を左右どちらかに流す座り方
- 骨盤:回旋・側屈
- 股関節:片側は外旋+外転、反対側は内旋位になりやすい
という状態が長時間続きます。
この姿勢が習慣化すると、
- 大腿骨の内外旋差が慢性化(特に内旋位側で大腿内側構造が短縮)
- 膝が外に流れ、外反・内反のアンバランスが起きやすい
- 膝関節の伸展が制限されやすくなる
といった、関節の左右差が起こりやすくなります。
立位になると左右の荷重差が目立ち、
なんとなく片脚に体重をかける癖が出やすくなる原因の一つです。
体育座り
体育座り(両膝を抱える姿勢)は、比較的安全な座り方のように思えます。
しかし、下肢の構造と機能の観点から見ると、負担が集中しやすい姿勢でもあります。
この姿勢では、
- 股関節:強い屈曲位
- 膝関節:深い屈曲位
- 足関節:背屈位で固定されやすい
という特徴があります。
特に注目したいのは、大腿四頭筋・ハムストリングス・下腿三頭筋といった
下肢の主要筋群が、同時に短縮位で長時間保持されやすい点です。
本来、筋肉は
「使われて伸び、縮んで力を発揮する」ことで柔軟性と機能を保ちます。
しかし体育座りでは、
- 膝を守るはずの大腿四頭筋が硬くなりやすい
- ハムストリングスの伸張性が低下しやすい
- 足首の背屈制限につながりやすい
といった変化が起こりやすくなります。
その結果、
- 立ち上がり動作で膝が重だるい
- 歩き始めに脚が伸びにくい
- 足首が詰まる感じがする
といった慢性的な違和感につながることがあります。
また、体育座りは骨盤が後傾しやすく、
その影響が股関節→膝→足関節へと連鎖的に伝わる点も見逃せません。
② チェア派(脚組み)の下肢

椅子に座り、脚を組む姿勢では、
- 骨盤の左右差
- 股関節の回旋差
- 膝・足関節への非対称な負荷
が生じやすくなります。
脚を組む側では、
- 外側の筋が緊張しやすく
- 反対側では支持するための過剰な緊張
が起こり、
左右差が「癖」として固定されていきます。
この状態が続くと、
- 片側の膝だけ違和感が出る
- 立位で体重が片脚に乗りやすい
- 歩行時のバランスが崩れる
といった、機能的なズレにつながることがあります。
横座りと影響は似ていますが、
「電車などの交通機関での移動中に膝組みしてしまう」
という人も多いでしょうから、脚組みの頻度はダントツといえます。
あマ指師による「下肢の機能」の捉え方

ここで、
あん摩マッサージ指圧師(あマ指師)の専門性について触れておきます。
あマ指師は、
機能訓練指導員として介護・医療・福祉の現場で活動できる国家資格者であり、
- 筋麻痺
- 筋萎縮
- 関節拘縮
といった運動機能の低下に対して評価と手技的介入を行うことができる医療系専門職です。
下肢を、痛い・硬いだけでなく、
- どの関節が、どの範囲で使われているか
- どの筋が働きすぎていて、どの筋が使われていないか
- その状態が生活動作にどう影響しているか
という機能全体のバランスとして捉えます。
その視点で見ると、
座り方のクセや長時間同一姿勢は、
将来的な筋萎縮や関節拘縮の原因になり得る重要な臨床確認ポイントです。
下肢を守るためにできること
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姿勢の改善
現代人においては、まずは、
固定された姿勢をこまめにリセットすること
だと思いました。
具体的には、
- 同じ座位姿勢を続けない
- 立ち上がって股関節・膝・足首を動かす
- 左右差が出る姿勢を無意識に続けない
こうした、小さな調整が、
下肢の機能低下や慢性痛の予防につながります。
適度な運動
特別な関節系や筋肉系の疾患がない限りは、
正しい骨の使い方で、散歩する!階段を上り下りする!出前を取らずに買い出しに行く!
といった、適度な運動が必要不可欠です。
便利さの誘惑に負けずに、生活の中で運動する口実をつくる自制心
もまた必要と思いました。
栄養バランスのとれた食事
そして、忘れてはならないのは、食事療法です。
関節痛の予防に効果的な栄養素としては、
- カルシウム(骨強度を保つ)
- ビタミンD(カルシウムの吸収促進)
- ビタミンK(カルシウムの定着)
この三点セットを意識することが重要です。
カルシウムを多く含む食品
- 小松菜・チンゲン菜
- 牛乳・ヨーグルト・チーズ
- 小魚(しらす、煮干し)
ビタミンD を多く含む食品
- 鮭・サンマ・イワシ
- きのこ類(干し椎茸など)
ビタミンKを多く含む食品
- 納豆
- ほうれん草
- ブロッコリー
積極的に摂っていきたいですね。
まとめ
下肢は、日常の使われ方がそのまま反映される部位だと思います。
どんな姿勢で、どれくらい座っているか。
その積み重ねが、将来の下肢機能を形づくっています。
できるだけ正しい姿勢+適度な運動+食事で、
生涯、自分の脚で歩けることを目指したいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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参考文献・参考資料
- Standring, S. (ed.)
Gray’s Anatomy: The Anatomical Basis of Clinical Practice.Elsevier, 最新版.
(日本語版:『グレイ解剖学 原著第4版』エルゼビア・ジャパン) - Moore, K. L., Dalley, A. F., Agur, A. M. R.
Clinically Oriented Anatomy.Wolters Kluwer. - Guyton, A. C., Hall, J. E.
Textbook of Medical Physiology.Elsevier.
(日本語版:『ガイトン生理学 原著14版』エルゼビア・ジャパン) - Neumann, D. A.
Kinesiology of the Musculoskeletal System.Elsevier.
(日本語版:『筋骨格系のキネシオロジー』医歯薬出版) - 日本理学療法士協会 編
『標準理学療法学・運動学』医学書院. - 厚生労働省
あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師に関する制度資料
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