今回は、
授業中、集中力が落ちてきたタイミングで手首の原穴を軽く圧していたら、
帰る頃には、だるさや疲労感が軽くなり、気力が回復した話になります。
この変化を少し整理してみます。
原穴とは何か
原穴とは、東洋医学において、
原気(生命活動の根本となるエネルギー)が留まるとされる手首・足首付近の経穴です。
この「原気」という概念はやや抽象的ですが、
実際に刺激で変化を感じる点は興味深いところです。
手先にある原穴には、以下のようなものがあります。
- 手関節掌側:太淵・神門・大陵
- 手関節背側:陽池
- 手背寄り:合谷・腕骨
つまり、「原穴=必ずしも手首ど真ん中ではない」ですが、
手関節周囲に集中しているのが特徴です。

なお、
- 食事をとったわけではない
- 睡眠をとったわけでもない
ため、体力そのものが回復したわけではなく、
気力が回復した感覚であることを念押ししておきます。
血流だけでは説明しにくい
今回の気力の回復は、血流改善も一因として考えられますが、
- 手首への短時間の圧刺激
- 局所的なアプローチ
のみで全身の血流が大きく変化するとは考えにくいです。
したがって、別のメカニズムも関与している可能性があります。
手は“高精度な感覚器”
手には以下のような機械受容器が高密度に分布しています。
- メルケル細胞(圧覚)
- マイスナー小体(触覚)
- ルフィニ終末(伸張)
- パチニ小体(振動)
さらに、脳の一次体性感覚野において手は広い領域を占めています(いわゆるホムンクルス)。
つまり手は、非常に情報量の多い感覚入力部位です。

神経生理学的な仮説
手首の原穴を圧することで、
求心性入力(末梢から中枢への感覚情報)が増加します。
この入力は、脳幹の覚醒系である
網様体賦活系(「意識のスイッチ」と言われている)
に影響すると考えられています。
つまりどういうことかというと、
- 手首への刺激
→ 感覚入力が増える
→ 脳の覚醒系が活性化
→ 頭がクリアになる・気力が戻る
これにより、だるさや疲労感が軽くなった可能性があります。
補足|触覚刺激が不快感を和らげる仕組み
触覚刺激には、単に覚醒を高めるだけでなく、
不快感そのものを和らげる作用もあります。
その代表的な考え方が
ゲートコントロール理論
です。
これは簡単にいうと、
- 触覚などの入力が脊髄レベルでの情報処理に影響し
- 痛みや不快感の信号が脳に伝わりにくくなる
という仕組みです。
日常で「ぶつけたところをさする」と楽になるのと同じ原理です。
今回のような圧刺激でも、
不快感(だるさ・疲労感)の知覚が調整された可能性があります。
原穴の捉え方
以上を踏まえると、
原穴は単なるエネルギーポイントというよりも、
神経学的に入力効率の高い部位
として理解することもできます。
まとめ
手首の原穴刺激でだるさと疲労感が軽減した今回の変化は、
- 感覚入力による中枢の調整
- 不快感知覚の変化
による可能性があります。
ただし、
手技療法はあくまで補助的な役割であり、
体力の回復には栄養・睡眠・運動の自助努力が不可欠
であることを再認識しました。
忙しくても、休息をしっかり取って、人生のマラソン走り切りましょう・・!!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考文献・参考資料
- 世界保健機関『ICD-11(国際疾病分類)』
- Kandel ER, et al. Principles of Neural Science
- Bear MF, et al. Neuroscience: Exploring the Brain
- 日本生理学会 編『標準生理学』
- Melzack R, Wall PD. Pain Mechanisms: A New Theory
- 厚生労働省 e-ヘルスネット
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