【訪問マッサージ同行レポ(前編)】初めての「訪問の景色」|4件の現場で感じたこと

あマ指師業界ログ
頂いたユニフォームを着ていざ同行!

「早く訪問マッサージの景色を見てみたい」

以前、Xでそんなことを書きました。

すると、思いがけないことに、学校のOBの先輩から「よかったら自分の訪問マッサージの現場に同行してみませんか」と声をかけていただきました。

正直、学校のOBの方の現場を見学させてもらえるとは思っていませんでした。

せっかくいただいた貴重な機会なので、お言葉に甘えて、同行させていただくことにしました。

事前に先輩が担当する患者さん一人ひとりに「学生が見学に来る」ということを伝え、了承を得たうえで訪問することになりました。

こうした事前の説明や調整のおかげで、患者さんの安心を守りながら、見学する側も落ち着いて現場に入ることができました。

今回は個人情報の遵守を第一に、私が見て、感じた範囲で綴ります。

この日は、4件の患者さん宅を訪問しました。

1件目 初めて見る透析患者さん

最初に訪問したのは、透析を受けている患者さんでした。

ベッド上でマッサージを受けていました。

私は勝手に「完全に寝たきりなのかな」と想像していたのですが、時々、趣味のお花いじりのために歩いているとのこと。

実は、この方は訪問開始当初、右殿部から右大腿部後面にかけて強い痛みがあり、ほとんど歩くことができず、ほぼ寝たきりの状態だったそうです。

ところが、訪問を始めて2か月ほど経った頃、ベッドが空になっていることに気づいたご家族が探してみると、家の中にいません。

焦って玄関から外に出てみると、なんと駐車場の横にある植木鉢の花に、ホースで水をやっていたそうです。

「お母さん!歩けるの?」

そう聞かれると、

「あ、そういえばそうだね(笑)。歩けるね」

と笑ったそうです。

それ以来、少しずつ歩けるようになり、「お花のお世話ができる」と喜んでいるとのことでした。

歩けるようになったことで、お花の世話ができる。

その人にとって大切だった日常が、もう一度戻ってきたのだなと感じました。

見学させていただいた日は、穏やかな表情で、調子も良さそうに見えました。

しかし、後から先輩に教えてもらって、考えさせられました。

私は顔色を見て「地黒なのかな」と思っていたのですが、透析患者さんでは皮膚の色調が変化して見えることがあるそうです。

学校で学んでいる東洋医学の「五行色体表」では、「腎」と「黒」が関連づけられています。

実際の患者さんを前にして「視診は大切なんだ」と強く意識するきっかけになりました。

そして、もう一つ印象に残ったことがあります。

「この方は、自力で自宅のトイレを使うことができないのか……」

そう気づいた瞬間、何とも言えない気持ちになりました。

これまで身近に透析患者さんがいなかった私にとって、こうした生活の一場面を見ること自体が初めてでした。

これから自分が進んでいく世界では、こういう現場が当たり前になっていくのかもしれません。

ご家族の方も、学生の私のために患者さんの状況をとても丁寧に説明してくださいました。

毎月のレセプトのサインについてまで、先輩と一緒に「こういうふうにするんですよ」と教えてくださいました。

そのご家族も医療従事者の方だったようで、これからあマ指師を目指す私を応援してくださり、とても嬉しかったです。

2件目 初めて見た「臨床での腹部指圧」

2件目は独居の患者さんでした。

私が通っている学校では、頸部や腹部への施術を重視する考え方があります。

ただ、腹部への施術は患者さんによって好みもあり、実際の臨床で見る機会は意外と少ないとも聞いていました。

そんな中、先輩が腹部への指圧を行っていました。

私にとっては、初めて見る臨床での腹部指圧でした。

すると患者さんが、

「お腹やってもらうと調子いいんだよ。食欲がわくんだよ」

と話していました。

自分自身も指圧を受けることで、以前より食事を美味しく感じられるようになった経験があります。

でも、それはあくまで自分自身の体験です。

初めて患者さん本人から「こう感じる」と聞くことができて、「自分が学校で学んでいることは、こうやって臨床につながっていくんだ」と、少し自信を持つことができました。

同時に、独居の患者さんを訪問するあマ指師は、施術だけでなく、日々の変化に気づく「見守り」の役割も担っているのだと感じました。

ケアマネージャーなど、さまざまな専門職と連携しながら支える。

訪問マッサージは、単に「自宅でマッサージをする仕事」ではないのかもしれません。

3件目 「どこでもやります」

3件目のお宅では、患者さんがソファーで寝て待っていました。

「ソファー?!」

と思いましたが、先輩は慌てることなく、患者さんに声をかけながらスムーズに体勢を変えて施術を始めました。

ついでに、やんちゃな飼い犬の妨害も受けながら・・・笑

「どこでもやります。座布団を敷いているだけの患者さんもいますよ」

先輩はそう話していました。

施術者側が「この環境じゃできない」と決めるのではなく、その人の生活空間に合わせて方法を考える。

その柔軟性もまた、患者さんに寄り添うということなのだと思いました。

そして、出していただいた茶菓子もありがたく頂きました。

患者さんの「家」というテリトリーに入らせてもらう以上、こうした振る舞いも大切な礼儀なのだと感じました。

4件目で、うっかり・・・

そして最後の4件目。

よく話をする患者さんでした。

先輩とのやり取りを見ていると、かなり仲が良いことが伝わってきます。

ただ、時々こちらがドキッとするほど、ズバッと言う場面もありました。笑

最初は「結構はっきり言う関係なんだな」と思っていました。

ところが、施術を見ているうちに、その言葉には別の意味があることに気づいていきました。

患者さんの「歩きたい」という気持ちを引き出すための、先輩なりの関わり方だったのです。

この患者さんとのエピソードには、訪問マッサージという仕事を考えるうえで、とても大切なものが詰まっていました。

そして私は、この4件目の現場で、うっかり思いがけず涙が出てきてしまいました。

なぜ感極まってしまったのか・・・

そして先輩は、どのようにして患者さんの「もう一度歩きたい」という気持ちを引き出したのか。

そこには、私がこれまで考えていた「あマ指師の仕事」とは少し違う景色がありました。

後編では、この4件目の患者さんとのやり取りを中心に、今回の同行で私が感じた「施術すること」と「人を支えること」の違いについて書きたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※本記事の掲載にあたっては、同行させていただいた先輩の許可を得ています。なお、患者さんの個人情報保護に配慮し、内容の一部を編集・匿名化しています。

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