【訪問マッサージ同行レポ(後編)】「歩きたい」を引き出す仕事|患者さんの意思と信頼関係

あマ指師業界ログ
頂いたユニフォームを着ていざ同行!

歩く力は、すでにある

前編では、訪問マッサージに同行して4件のお宅を訪問した経験を書きました。

今回は、その中でも特に心に残った4件目の患者さんについて、もう少し書きたいと思います。

その患者さんは、脳疾患による後遺症である歩行困難を改善すべく、これまでいくつかの整骨院に通っていたそうです。

しかし、歩行困難はなかなか改善しませんでした。

そこで、かかりつけ医から先輩を紹介されたそうです。

先輩の指導は、それまで受けてきたものとはかなり違っていたようで、最初は半信半疑で「馬鹿なことを言う人だな」と思っていたそうです。

(実際にはオブラートに包んだやさしい表現でした笑)

ところが、先輩との関わりが続くうちに、患者さん自身が「ちょっと歩いてみようかな」と思うようになりました。

そして、家の周りを歩く習慣をつくり、それを1年ほど続けた結果、かなり長い時間歩けるようになったそうです。

施術中にも、時々「自分には無理だ」というように自動運動を諦めそうになる場面がありました。

それでも先輩が手ほどきをしながら促すと、患者さんはもう一度頑張っていました。

その姿を見て、私は、うっかり涙してしまったのでした。

”あ、やばいやばいやばい”と思いながら、ばれないように、ちゃっかり涙を引っ込めたのでした。

大切なのは「歩かせること」ではなく、「歩きたい」を引き出すこと

この場面で私が強く感じたのは、患者さん自身の「歩きたい」という意思の大切さです。

もちろん、やむを得ず歩行困難な方はいると思いますが、回復の余地があるのだとしたら。

年齢を重ねれば、身体機能だけでなく、活動への意欲や自信が低下することもあります。

だからといって、周囲が一方的に「運動しましょう」「歩きましょう」と正論を伝えるだけでは、人はなかなか動けません。

先輩がしていたのは、患者さんの性格を理解したうえで、その人に合った導き方をすることでした。

それができるのは、そこに信頼関係があるからだと思いました。

上っ面の説明でも、正論をぶつけるだけでもありません。

患者さんが納得できる形を探しながら、本当に必要なことを諦めずに伝え続ける。

その積み重ねが、「自分でもやってみよう」という気持ちにつながったのではないでしょうか。

先輩が最後に言った、

「○○さんは元々歩けたんですよ」

という言葉も印象に残っています。

「歩けるようにしてあげた」という施術者側の手柄にするのではなく、患者さん自身が持っていた力を尊重しているように聞こえました。

これは、私にとって大きな学びでした。

歩けると、自分で選択できることが増えます。今の自分が当たり前にできていることはすごく尊いことなのだとも思いました。

訪問マッサージで見た、患者さんの生活に寄り添うということ

今回の同行で、訪問マッサージの印象が大きく変わりました。

まず、恥ずかしながら、「訪問マッサージ」という言葉を知らずに入学してきた私は、あマ指の資格でそれができることも知らず、失礼ながら魅力も感じておらず、あまり興味がありませんでした。

今回、実際の現場に同行させていただくまでは、訪問マッサージに対して「寝たきりの高齢者に、関節可動域を少しでも維持・改善したり、痛みを和らげたりする仕事」という「いわゆる」なイメージくらいの知識でした。

もちろん、それは訪問マッサージの大切な役割ですが、正直なところ、技術的にはある程度パターン化され、限界もあるのではないかとも思っていました。

しかし、実際に4件の訪問に同行してみると、その印象は大きく変わりました。

患者さんの身体の状態も、生活環境も、家族との関係も、一人ひとりまったく違います。そして皆さん、それぞれの事情や制約を抱えながら、(表現が正しくないかもしれませんが、)自分の毎日を懸命に生きていらっしゃいました。

私は、その姿がとても美しいと感じました。

ベッドがあるとは限りません。

ソファーのことも、座布団だけ敷いてあることもあります。

家族がいることもあれば、独居の方もいます。

患者さんの身体だけを見るのではなく、その人がどんな家で暮らし、どんな人に囲まれ、どんな生活をしているのかを見る必要があります。

そして、その人の「できること」をどう維持し、どう引き出していくのかを考える。

訪問マッサージは、患者さんの生活の場で施術をする仕事です。
だからこそ、技術だけでなく、その人の暮らしや環境まで見る視点が必要なのだと思います。

観察する力、コミュニケーション、環境に合わせる柔軟性、他職種との連携。

そして何より、その人を一人の生活者として見る視点が必要なのだと思います。

「あマ指師になりたい」が、少し具体的になった

今回の同行では、訪問マッサージそのものだけでなく、移動中や訪問の前後にも先輩からたくさんの話を聞かせていただきました。

学校生活のこと。

卒業後のこと。

独立してからのこと。(年収も・・・!)

これからのビジョン。

さまざまな話を聞く中で、自分が卒業後にどんな選択をしていくのかについても、改めて考える機会になりました。

そして、個人的には、生理学や力学的な視点からマッサージという技術を考えることの面白さも再認識しました。

学校で学んでいる知識が、実際の患者さんの身体や生活とつながった瞬間でした。

やっぱり、あん摩マッサージ指圧ってすごい技術です。

今回の同行を終えて、今の自分に何が足りないのかも少し見えてきました。

これから勉強しなければならないことも、身につけなければならない技術もたくさんあります。

でも、今回実際の現場を見ることができたことで、「卒業したら何をしよう」ではなく、「そのために今から何を学ぼう」と考えられるようになった気がします。

今回、貴重な機会をくださった先輩と、見学を受け入れてくださった患者さん、ご家族の皆さまには、本当に感謝しています。

このご恩は一生忘れません。

いつか仕事で返せるように。

今回見せていただいた景色を忘れず、私も一歩ずつ精進していきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

※本記事の掲載にあたっては、同行させていただいた先輩の許可を得ています。なお、患者さんの個人情報保護に配慮し、内容の一部を編集・匿名化しています。

※ 本記事内に掲載している図・画像は、各素材配布サイトの利用規約を確認のうえで使用しています。

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